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  1. 物価スライド、マクロ経済スライドって何?
 

物価スライド、マクロ経済スライドって何?

2014/05/21

日本の年金制度・・・
これまで少子高齢化を理由に、負担増給付減の改正が続いていますから、自分は果たして年金を受け取れるのだろうかと考える若者が多いのは無理のない話です。

 

しかし、だからと言って「年金は不要」ではありません。

 

私たちには、社会の変化を予測できないからです。

 

老後資金は今使うお金ではなく、30年、40年、50年先の自分のために準備しておくお金です。

徐々にモノの値段が上昇すれば、いざ、使う時になって同じものを購入できるかどうかはわかりません。

もし、モノの値段が高くなり過ぎていれば、貨幣価値が損なわれることになるので、老後の生活は困窮するかもしれません。

 

40年以上も前の話ですが・・・

我が国では、しばらくの間モノの値段が下がり貨幣価値が上がるデフレが続いておりました。
このような話をしても理解できないかもしれませんが、『平成26年度「年金制度のポイント」(厚生労働省)』の比較表をみると、45年の間にモノの値段が上昇してきたことが判りますよね。

 

1965年と2010年の小売物価の変化(出典:小売物価統計調査)

商品名 1965年 2010年 倍率
鶏肉 100g 71.8円 129円 1.8倍
牛乳(瓶) 1本 20円 114円 5.7倍
うどん 1杯 53.7円 595円 11.1倍
カレーライス 1皿 105円 742円 7.1倍
コーヒー(喫茶店) 1杯 71.5円 411円 5.7倍
タクシー代 初乗り 100円 710円 7.1倍
はがき 1通 5円 50円 10倍
ノートブック 1冊 30円 144円 4.8倍

 

国は、責任をもって公的年金制度を運営しています。
そして、国民が高齢、生涯、死亡などの理由で、生活が困窮することがないように保障しているのです。
そのために、基本的生活を営める水準の年金額を何十年経過しても保てるようにするため、
「物価スライド制」を導入して年金額の改定を行ってきました。

「物価スライド制」というのは、年金額が物価や賃金の変動に対して貨幣価値を失わないように改定するしくみで、前年(1〜12月)の消費者物価指数の変動に応じ、自動的に翌年4月分からの年金額を改定するものです。 

この物価スライド制は、1973年に導入されました。その年は11月に第1次オイルショックが勃発し、買い急ぎや売り惜しみなどが増幅されて、物価は狂乱的な状況に陥っておりました。翌年上年度における対前年度比の消費者物価指数は16.1%の上昇しましたが、1974年8月から年金額を16.1%引き上げ改定して貨幣価値は維持されたのでした。これが物価スライド制の始まりです。

 

こうして長年にわたり、インフレから年金の実質的貨幣価値を守ってきた「物価スライド制」でしたが、やがて日本経済は高度成長期が終わり成熟期に入ってくると、海外から安いモノが大量に入ってくるようになり、1999年頃から、物価は下落傾向となりました。

また、少子高齢化が加速して年金財政の悪化が顕著となったため、物価や賃金の変動だけではなく、年金の被保険者(加入者)の減少や平均寿命の延び、社会の経済状況等を考慮して年金額を改定する「マクロ経済スライド制」が導入されることになりました。

 

「マクロ経済スライド制」というのは、年金給付額にマクロ経済全体の変化を反映させて、自動的に調整させる機能を持つ制度です。2004年に、「100年安心な年金」を掲げた年金改革の目玉として導入されましたが、10年経過の2014年になっても、いまだ機能しておらず、それによる財政的なツケは将来世代に先送りされているのが現実です。

 

原因は、「まずは『もらいすぎ年金』の解消を優先する。解消された時点で初めて、マクロ経済スライドを発動する」という条件が付帯されていたこと等によるものですが、ようやく、特例的に支払ってきた本来より高い水準をもとに戻す年金額改定が2015年4月で終了することになり、いよいよマクロ経済スライドを発動する地盤が整うことになりました。

 

今後は、仮に物価や賃金が上昇しても、マクロ経済スライドによる調整率を差し引いた改定となるため、徐々に年金額は抑制され、貨幣価値は減っていくことになるのです。