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ツキイチマネーレッスン(メルマガ)バックナンバー

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 ツキイチマネーレッスン
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あんしん未来マネー塾のバーバラ石津です。
「※やさため」メルマガ、ツキイチマネーレッスンを
お送りいたします。
  ※やさため=やさしく、ためになるの略


14日以降、熊本県を中心に大きな地震が相次いでいますが、
被災された方ならびに
ご家族の方に心よりお見舞い申し上げます。
まだ余震が続いており心休まる時もないかと思いますが、どうぞ心身ともご自愛くださいませ。
まだまだ当面の生活を考えることで精いっぱいな状況だと思いますが、
被災後の生活再建等に向けた情報がコンパクトにまとめられている冊子があります。
お役に立てるかもしれないと思いますので、紹介しておきますね。
日本FP協会の”災害に備える「くらしとお金の安心ブック」”です。
PDFはこちら→ http://www.jafp.or.jp/personal_finance/fresh/anshinbook/files/anshinbook_all.pdf

  *

私たちの日々の生活は、これからも続きます。
だからこそ、社会や経済環境の変化にもしなやかに対応して、安心して暮らしていきたいものですよね。
そのためには、やっぱり、ある程度の知識は必要です。
歴史から学べることは多いし、先人の知恵も貴重です。
そして、情報収集しましょう!ですが、氾濫する様々な情報の中から正しいものを見極めるチカラも鍛えて養ってくださいね。
そして、何よりも重要なのは、きちんと行動しておくこと!です。

ツキイチマネーレッスンのメルマガは、今回が最後になりました。
毎回タイムリーで経済を解かりやすくひも解いて教えてくれたテリーさんからのレポートは今回で最終回となりますが、やっぱり、長いです(笑;)
ゆっくり時間をかけて、じっくりお読み頂けれ幸いです。

これまでメルマガをご購読いただき、どうもありがとうございました!



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第22回 テリーの「やさため経済」
忘れちゃいけない新興国
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前回はマイナス金利のお話でした。
その後、ECB(欧州中央銀行)に対し、マイナス金利を「やめるべきだ」との批判がドイツから相次いだところ、英国の経済紙フィナンシャル・タイムズのチーフ・コメンテーターから、「マイナス金利になるほど景気が弱いのは、そもそもドイツのせいでもある。ECBを責めるのは筋違いだ」といった内容の痛烈な反批判がありまして・・・・という話にしようかなとも思ったのですが、込み入っていますのでやめにしました(笑)
今回は、弱々しい世界経済にあって、成長が鈍化したなどと言われながらもきちっと世界経済をけん引している新興国のことについて、書いてみることにします。
 
新興国と聞くと、どんなことが思い浮かぶでしょうか。
「BRICS」という言葉をご存知の方は少なくないと思います。
新興国は経済成長率が高いことや、その存在が世界の経済にとって重要さを増していることなどについても、耳にされることがあるでしょう。
 
ただ、その新興国も、リーマンショック後は成長率が鈍化し、なかにはブラジルのように成長率がマイナスに落ち込むところさえ出てくるようになりました。
最も影響力が大きい新興国は何と言っても中国です。測り方によっては米国を抜いて世界第一位の経済大国となりました。
12億を超える人口を抱え、経済規模も巨大で、かつ「四千年?の歴史」があるこの国のことを、今もって「新興」の国と呼ぶのも妙な話ではありますが、それはさておき、高い成長率を誇ってきたこの中国も、成長率の低下がなかなか止まりません。
不動産バブルの崩壊が警戒されたり、重厚長大型産業のリストラの話が政府から出たりするなど、ブラジルほどではないものの、期待より不安が語られることが多くなっています。
(ただし、直近では経済状態がいくらか改善してきたようです。)
 
世界経済の救世主の如くもてはやされた10年弱前に比べ、明らかに勢いが落ちた新興国ですが、では、このまま忘れられる存在になっていくのでしょうか。
結論から言えば、そんなことはないでしょう。
2000年代にやり過ぎた反動で少しお休みは必要でしょうし、まだ明るい話が満載とはいきませんが、誰も彼もが「冴えないなあ」と思っている時こそ、何かとチャンスでもあります。
 
 
■低空飛行が続く世界経済
 
前振りとして、先日発表されたIMF(国際通貨基金)の世界経済見通しについて簡単にまとめておきましょう。
世界のGDP成長率(実質値の前年比。以下同じ)の予想は、今年、来年と引き下げられ、3%台の下の方となっています。
4%以上が好景気の一応の目安とされていますので、「ひどくはないが冴えない」そんな状況続くという風に見られています。
 
日本の見通しは厳しく、2015年と2016年がともに+0.5%とすれすれプラスを維持するものの、2017年は▲0.1%とわずかながらマイナス成長が予想されています。
2017年のマイナス予想は、この年の4月に予定されている消費税率引き上げの影響が織り込まれているためです。
 
他の先進国を見ますと、米国は2016年が+2.4%、2017年が+2.5%、ユーロ圏は+1.5%と+1.6%、そして先進国全体では+1.9%と+2.0%です。
なんとか2%に届くかどうかという低成長が続く予想となっています。
 
これに対して新興国は、2015年が+4.0%、2016年は+4.1%、2017年は+4.6%と、いつも通りとはいえ先進国を上回る成長が続く見通しです。
ちょっと注目しておきたいのは、2016年から2017年にかけての成長率の変化で、先進国がほぼ横ばいなのに対して伸び率が高まっていくと見られています。
後で触れますが、ここは結構重要なポイントになりそうだと思っています。
 
 
■新興国の通貨と株価が売られた理由
 
昨年後半にかけて、新興国の通貨と株価はかなり売られました。
理由として挙げられたのは、米国の利上げ観測と、中国の景気減速です。
このうち、米国は12月に利上げしたのですが、その後、新興国の通貨や株価はむしろ総じて上昇しています。
いわゆる「悪材料出尽くし」といういつものパターンと捉える向きが多いようです。
 
ただし、ここで注意して頂きたいことがあります。
それは、新興国の通貨と株価の軟調は、米国の利上げ観測のはるか以前にすでに始まっていた、ということです。
米国FRB(連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長(当時)が量的緩和の終了を示唆したのは2013年5月のことでした。
新興国の通貨はそれを機に確かに大きく売られたのですが、直前のピークはその2年も前、2011年のことでした。
株価もほぼ同様で、先進国に比べて見劣りし始めたのは、さらにその前年の2010年のことです。
新興国の通貨と株価が不振続きだった理由は、こうして見ると米国の利上げだけとは言えないことが分かります。では何が真犯人だったのでしょうか。
 
この点について、IMFの今回の報告は、特集に当たる部分で新興国への資金の流出入の推移を詳しく分析しており、大変参考になります。
それによりますと、新興国の資金純流入(流入から流出を引いたネットの流入額)は2010年にピークを打ち、以後、一本調子に減少して、2015年にはついに純流出に転じました。
先ほど書いた株価や通貨のピークと時期がほぼ一致しますが、これは偶然ではありません。
資金純流入が減るということは、その通貨が買われなくなるということとですから、新興国通貨が弱かったのはむしろ当然と言えます。
 
【米国の利上げ観測のはるか前から新興国への資金流入はピークアウトしていた】
 
まずはこの事実を確認しておくことが大事で、意外にも見落とされてきたポイントです。
それとともに、あるいはそれ以上に重要なのは、なぜそうなったかという理由です。
2010年を境に、資金流入はなぜ細り始めたのでしょうか。
IMFが挙げているのは、新興国の成長率の鈍化です。
 
新興国と先進国のGDP成長率を並べると明らかなのですが、2010年をピークに新興国の成長率はじわじわ低下し、それほどは下がらなかった先進国に差を詰められていたことが分かります。
このことの意味は、「新興国への投資や融資は魅力を失っていった」ということです。
魅力を失った結果、先進国からの資金流入はピッチが落ち、逆に新興国の資金はより安全な先進国へと流出するようになっていった、ということが言えそうです。
 
 
■ではなぜ新興国の成長率は落ちたのか
 
新興国への資金の出入りが細った理由として、私は先進国側の事情をまず挙げるべきだと思っています。
きっかけは、やはりリーマンショックだったように思います。
先進国を中心とした金融の世界は、リーマンショックを経て「百年に一度」と呼ばれるほどの大ピンチに陥りました。
このため、金融システムを安全なものに作り直すため、危機防止策を含めて広範囲にわたる対策が考えられ、実行に移されてきました。
そこで打たれたいくつかの「手」が、新興国への資金の流れを細らせる原因になったと考えているのです。
 
例えば米国では、2010年に成立した金融安定化法をはじめとして、金融規制を強化する動きが続きました。
これにより、米国内で金融機関が調達したドル資金を新興国の債券に投資することが困難になる、といった事態が生まれました。
また、2010年以降、欧州ではギリシャ問題に端を発した銀行危機や政府債務問題が拡大しましたが、これも新興国には逆風となりました。
銀行は、金融当局から財務体質の強化を迫られ、貸出を減らす一方、安全とされる国債などに資金を振り替えました。
新興国向けの融資は大幅に削減され、場合によっては「貸しはがし」つまり、貸した金の返済を強く迫ることさえ広く行われたとされています。
 
このように、金融システムの健全化を目的に採られた様々な対策が、皮肉にも新興国にとってはマイナスに働いた可能性は大きいのです。
新興国経済とその通貨・株価の不調は、この影響を直接間接に受けた結果であると考えられます。
 
以上を簡単にまとめますと、金融システム改革の一環として貸出や投資に様々な規制や公的な圧力がかかり、先進国からの資金流入が細ったため、新興国の成長率が鈍化し、そのことが新興国への投資や融資の魅力を落としてさらに資金の流入が減った、ということだろうと思っています。
これぞまさしく悪循環、負のスパイラルです。
株式市場には「買うから上がる、上がるから買う」という有名な格言がありますが、新興国の通貨と株価は、その逆の「売るから下がる、下がるから売る」という悪循環に陥っていたのだろうと思います。
 
 
■変化の兆候
 
かれこれ5年以上も冴えない状況が続いた新興国の通貨と株価ですが、足元では、国によって多少の差はあるものの、概ねかなり堅調です。
その理由として言われているのは、先ほども少し触れた「悪材料出尽くし」です。
おそらくそれ以上に重要なのは、米国の利上げピッチが当初思っていたよりはるかにゆっくりしたものになりそうだという方向に市場の予想が変わったことが挙げられます。
原油価格をはじめとして資源価格が反発しているのを見ますと、米国の利上げ観測でドルを買い他の(あらゆる)物を売る、という動きが逆転し始めたということもあるでしょう。
「ポジションの巻戻し」と呼ばれる、短期投資家のとっさの行動がその典型です。
そうした面は確かにあるものの、それだけではない気もしています。
 
実際、資金が新興国に戻り始めた兆候が、あちこちで見え始めています。
例えば、IIF(国際金融協会)という機関によれば、新興国からの資金流出は2月に止まったようです(3月30日付け日本経済新聞朝刊)。
また、調査会社のEPFRは、3月末まで6週連続で新興国債券ファンドへの資金が純流入になったと発表しています(4月4日付けウォールストリートジャーナル電子版)。
 
最も売り込まれていた通貨の一つであるブラジル・レアルの急上昇について、余談になりますが念のため申し上げますと、この国の場合は、大統領が弾劾裁判にかけられ、それによって政権が変わるかもしれないという、なんとも入り組んだ期待によるこの国固有の反発という面が確かに強いです。
しかし、目を向けるべきなのは、ブラジルの特殊事情ではなく、ほぼすべての新興国で通貨も株価も底打ちし上昇に転じているという事実の方です。
まだ状況証拠に基づく直感の域を越えていませんが、短期投資家だけでなく、長期投資家の資金が動き始めた可能性を感じています。
 
先ほど、新興国への資金純流入が落ちたのは、経済成長率が先進国に追いつかれそうになってきたことが理由だとするIMFの分析をご紹介しました。
そうであるなら、新興国の通貨や株価が本格的に勢いを取り戻すためには、少なくとも先進国より成長率の見通しが良くなることが必要だ、ということになります。
その意味で、冒頭付近で触れた今後の成長率予想は、新興国にとって何かと明るい材料です。
そこで申し上げたのは、新興国の成長率は2016年、17年と盛り返し、特に2017年には先進国との差をかなり広げるということでした。
 
 
■打たれ強くなった新興国
 
もう一つ、今回のIMFの報告の中で注目したい点がありますので、最後に補足します。
IMFは、資金純流入の急激な落ち込みが過去に見られたような深刻な危機を引き起こしていないのはなぜなのか、言い換えれば、新興国が打たれ強くなった要因は何か、ということについての分析結果も披露しています。
 
新興国と言えば、経済基盤が脆弱なためにリスクも大きい地域である、というのが一般的なイメージだろうと思います。
実際、南米やアジア等で、これまで大きな通貨危機や金融危機が度々起こってきましたし、現在も危ない国がないわけではありません。
 
ただ、今回は、同規模の資金純流入の激減に見舞われた過去のケースと比べて、新興国で発生した危機は極めて少数に限られています。
確かに通貨が大きく売られた国は少なからず存在しますし、株価も結構下げました。しかし、大銀行がバタバタと潰れるとか、政府が財政破綻の瀬戸際に追い込まれたり対外債務の返済が大規模に滞ったり、といったことが今回は本当に少ないのです。
その理由としてIMFが挙げているのは、外貨準備高の増加、外貨建て債務の割合の減少、為替相場の柔軟性の向上、以上の三つです。
 
今回はもう十分に長すぎますので、それぞれについての詳しい説明は割愛しますが、要するに、過去の苦い経験がかなり生かされているということです。
勿論、新興国の全部が全部大丈夫というわけではありませんが、新興国も学びながら徐々に前進しているのは確かです。
 
 
■最後の最後に
 
IMFの直近データによれば、新興国が世界経済に占める割合は今やGDP(購買力平価。以下同じ)で見て57.6%に達しています。
中国の存在はやはり大きく、なんと17.1%に上っており、米国の15.8%を上回る存在となっています。
そのほか、インドも7.0%と日本の4.3%をすでに超えています。
アジアの新興国(中印を含む)を合計しますと30.6%で、世界の3割に達する大勢力となりました。
 
こうなると、世界経済を見ていくうえで新興国は到底無視できません。
日本だけ、米国だけ、先進国だけ見ていれば世の中が分かった時代は、とうの昔に終わったと考えるべきでしょう。
それと同時に、「新興国」と十羽ひとからげに評価するのも最早危険と言えます。
これからは、地域別や国別に丁寧な分析が必要になるでしょう。
 
新興国を巡っては、冒頭で書いたBRICSなどを中心として、2000年代初頭に大ブームが起こりました。
それが終わったすぐ後に、次の大ブームは通常起こらないものです。
少なくとも、大ブームが起こった同じ場所(テーマ)でまた同じブームが起きることはほとんどなく、次までは少々時間がかかると思った方がいいでしょう。
IMFの予想が仮に正しいとしても、新興国が目に見えて元気になるのは2017年以降のことです。それでもまだ早いかもしれません。
 
足元を見ますと、米国の利上げ、日欧のマイナス金利、世界的に弱々しい景気動向、落ち着かない原油市場など、不透明な要素が山盛りです。
間近に迫ったG7(5月)や、EU残留の是非を問う英国の国民投票(6月)なども、波乱要因になるかも知れません。
ただ、市場の上下変動をもたらすそうした要因だけでなく、5年先、10年先、20年先を見据え、世の中の大きなトレンドがどっちに向かっているか、ということにも注目しておくことが大切です。
経済の地殻変動をもたらしつつある新興国の重要性は、今後間違いなく一段と増すことでしょう。
たまにで結構ですので、その様子に目を向けて頂ければと思います。
 
 
■これがホントの最後に最後のご挨拶
 
さて、ほぼ2年前より、石津さんのご指名により月一回のご報告をさせて頂いて参りましたが、私自身の一身上の都合もあり、本号をもちまして執筆を満了させて頂くことになりました。
読者の皆様には、ダラダラと長いばかりの文章にお付き合い頂きまして、心から感謝申し上げます。
また何かの機会がありましたら、紙上でお目にかかることもあろうかと思います。
世の中は不景気で冴えないように見えますが、水面下では色々な変化もあるようです。
そのあたりのことをまたお話しできたら幸いです。
では皆様、お元気で。

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あんしん未来マネー塾 バーバラ石津
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  ※やさため=やさしく、ためになるの略

桜前線がようやく動き出しましたね。
桜の種類が違うのでしょうか、大阪の桜の開花宣言は、あと数日というところでしょうか。
今週末には、また寒気がやってくる予想。
「慌てないで、まだ蕾のままいてもいいよ!」です。

さて、今月は
今一つ理解しにくかった「マイナス金利」がテーマ。
「やさため経済(やさしくためになる)」で、テリーさんが解り易く解説してくれています。
じっくり読む価値あり!です。

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第21回 テリーの「やさため経済」
金利がマイナスの世界へ
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1月29日に日銀がマイナス金利の導入を発表してから2ヵ月近くがたちました。
今回は金利がマイナスという不思議な世界について、ポイントやここまでに表面化した色々な現象などをまとめてみようと思います。
株式市場への影響も最後で触れることにします。

■「預ける人がおカネを払う」不思議な世界

金利はゼロ以下にはならない――そう、私たちは長く思ってきました。
いや、そう思ってきたというのは正しくなくて、金利がマイナスになるなど考えたことさえなかった、と言うべきでしょう。

マイナスにマイナスを掛けるとプラスになる――頭で解っていても感覚的には納得しにくいものです。
それに似て、おカネを預けた人がおカネ(金利)を払うというのは腑に落ちにくい世界です。

慌てて金庫を買った人もいたらしいです。
金利を払わされるから銀行に預けては置けないということなのですが、無理もないと思う反面、早合点が過ぎて笑える話でもあります、今のところ。
すでにあちこちで読んだり聞いたりされたでしょうから、いまだに誤解しておられる方はいらっしゃらないでしょうが、念のため申し上げますと、
マイナス金利が適用されるのは、日銀に口座を持っている機関の一部の預金、つまり「日銀当座預金の一部」だけです。
普通の銀行などに置いてある預貯金の金利までただちにマイナスになるわけではありません。

日銀は、「銀行の銀行」とも言われます。
個人が銀行に口座を持つように、銀行は日銀に口座を持っています。
日銀に口座を持っているのは誰なのか、日銀のホームページのQ&Aにはこうあります。
「日本銀行に預金口座を開設している先は、主として金融機関等です。このほか、国、外国の中央銀行や国際機関などが預金口座を開設していますが、個人や一般企業からの預金は受け入れていません…」

というわけで、私たち一般の市民は日銀のマイナス金利の適用を受ける、つまり金利を取られることはありません。
ただし、喜んでばかりもいられない状況ではあります。
これもすでにご存じのことと思いますが、マイナス金利適用の余波は、世の中の金利全般に及んでいます。
たとえば定期預金。すでに低かったこの金利は、さらに下がる方向です。
一方、住宅ローンなど、借りる方の金利も下がってきました。

銀行が直接関与する預金や貸出の金利だけでなく、その他の金利も低下しています。
たとえば、資金を短期証券などで運用するMMFは、顧客からの入金の停止やファンドの償還を相次いで発表しましたが、これはプラスの金利が付く証券が無くなってきたためです。
このままではファンドの基準価額が下落するか、それを避けるためには運用会社が穴埋めをしなくてはいけなくなってきたことが、こうした動きの背景です。

2から1、1からゼロという変化は対応が可能でしたが、ゼロを下回る−1は別世界ということです。


■広がるマイナス金利

日銀が直接影響を及ぼせる短期金利だけでなく、長期金利もマイナスになってきました。
日本の10年国債の利回りは直近(3/18現在)で−0.1%です。
100万円買っても年1000円損する計算です。

ちなみに、各国の10年国債利回りを見ますと、一番低いスイスが−0.31%で、一時は−0.45%まで下がりました。
少し期間が短い5年程度のものなら、ドイツなど欧州の主要国で軒並みマイナスとなっています。
また、裏はとっていませんが、スイスでは富裕層向けや企業向けの大口預金にマイナス金利が付いたとの報道もありました。
これらの国は、いずれもマイナス金利を導入していますが、その影響は中央銀行に預金を置いている機関だけとは言えない状況となっているわけです。

もっとも、利回りがマイナスの国債は買わなければいいですし、預金にマイナス金利がかかるようなら引き出して現金で持つという逃げ道が残されています。
現金を持つコスト(金庫や防犯装置を設置するコスト)は無視できませんが、銀行に置いておくコスト(マイナス金利の影響額)と比較したうえで、預金を引き出す必要に迫られるケースが今後もしかしたら起こるかも知れません。

補足ですが、日本の銀行の場合は、そうやって現金に換えて持っていても、日銀当座預金と同列にみなされマイナス金利が適用されることになっていますから、逃げるのも簡単ではありません。


■株式相場や為替市場への影響

一般的に金利低下を中心として金融緩和は株式市場にはプラスです。
第1は、金利が下がると株式の配当金の相対的な魅力が増すからです。
東証第1部の今期予想配当利回りは加重平均で2.10%。
もちろん、元本が保証されている(あるいはそれに近い)預貯金や国債と、価格変動が大きいうえに減配の可能性もある株式では、単純な比較はできません。
しかし、ゼロ金利より2%もお得な配当利回りが、マイナス金利の拡大によってさらにお得になるのは事実です。

第2は、金融緩和によって借り入れコストが下がりますと、おカネを借りて株式投資するときのコストも下がりますから、そうした投資をする人が投資額を増やす可能性が増すからです。
皆さんに「そうしましょう」とお勧めするにはリスクが大きすぎますが、こうした投資家というのは確かにいます。

第3は、金融緩和で将来の景気と企業業績がよくなると予想されるケースが多いからで、通常はこれが最も重要な株価上昇要因です。

ところが、日本ではマイナス金利導入後、株価は決して堅調とは言えません。
金利低下によるプラス効果は確かにあるものの、それ以外のマイナスが大きいからと言えます。

まず、利ザヤが縮小し収益が悪化すると予想された銀行株が売られました。
預金金利はマイナスにできないので大きくは下げられず、一方の貸出金利は下げる余地がある、という非対称な状況が、利ザヤ縮小懸念の背景です。
銀行株は株式市場で大きな割合を占めていますので、銀行株の下落は株価指数の下落に直結しました。

また、為替相場が1ドル120円程度から一気に110円をめがけて円高にシフトしたこともマイナスに作用しました。
日本の輸出企業の採算悪化をもたらし業績を押し下げると懸念されたからです。

日銀にとって、この円高は予想外だったに違いありません。
金利が下がったのに円が強くなった理由については諸説あります。
マイナス金利の影響で国債利回りが低下、つまり国債価格が上昇すると予想した海外投資家が、日本国債を大量に購入したことも一因かもしれません。
海外投資家による日本資産の買い付けはドル売り円買いを増やしますから、円高要因になるのが一般的です。

しかし、それ以上に、米国の金融政策への見方が変わったことの影響が大きいと思っています。
日本のマイナス金利と直接関係はないと言えますが、広い意味では世界経済の停滞という共通の背景があると思っています。

その金融政策ですが、3月中旬に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)では金利の引き上げは見送られ、先行きについても利上げピッチの予想が引き下げられました。
数ヵ月前の見方は、米国金利の引き上げはドル高につながる、というものであり、円安・新興国通貨安、ひいては原油安の理由ともされてきました。
利上げ観測が無くなってはいないものの大きく後退した結果、流れは逆転し、1月から2月にかけて原油など商品市況や通貨・株価が新興国を含めて相次いで底打ちしています。

ドル高で苦しんでいた米国企業には朗報であり、業績改善期待から株価は堅調に戻っています。
原油の増産凍結をロシアとサウジが合意する(した)という好材料もあり、原油価格は回復し、資源国の株価反発に寄与しています。
たびたびお伝えしているインドネシアでは、1月から3ヵ月連続で政策金利が引き下げられましたが、これにはドルの反落も寄与しています。

ところが日本株は、先ほど触れましたように円高がマイナス要因となり、動きの鈍さが目立っています。
金融緩和と世界の株式市場の回復という状況を見ますと、ここまで弱くなくていいのではないかという気もしますが、さてどうなりますでしょうか。

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毎年この時期になると、「行く年くる年」をテーマにしたレポートや記事が目に入ってきますね。
皆様にとって、2015年はどんな年でしたか?
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今月もテリーさんからレポートが届いております。
2015年の総括と2016年の展望・・・。
今月も、じっくりと読み進めてくださいね。

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第18回 テリーの「やさためしろい経済」
【1年を振り返って
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どうも今年はあまりパッとしないまま終わりそうな感じですが、何もなかったというわけではありません。
先ずは簡単に今年を振り返り、その後で来年のことについて考えてみることにしましょう。

■2015年の回顧

原油価格の下落は日本にとっては大きな恩恵だったはずです。
しかし、その割に景気が明るさを増したという雰囲気はあまり広がりませんでした。
かなりの好天を予想していた私には意外な展開だったと告白しておきます(3月23日号ご参照)。

国内総生産(GDP)は4-6月に前期比でマイナスとなり、7-9月は改定値でプラスに浮上したものの、年率換算で1.0%。これでは回復感はないですね。
元気だったのは、中国人をはじめとする海外からの観光客の急増でにぎわったホテルや一部の小売店、それに中国人好みの商品を作っているいくつかのメーカーくらいでした。

我が業界もいま一つでした。
日経平均株価は12月18日現在で前年末に比べ9%弱のプラス。
なんとか上昇して終わりそうです。
ただ、6月につけた20868円から見ますとかなり下なので、尻すぼみ感が拭えない1年でもありました。
米国のダウ平均は4%ほどのマイナス。
為替レートも、対ドルでは非常に狭い範囲を行ったり来たりの年でした。
とはいえ、振り返れば実にいろいろなことがありました。

◆ギリシャ

このコーナーでもしばしば触れてきましたが、初夏のころにはギリシャ問題で市場は揺れました。
もうすっかりお忘れの方も多いと思います(私もです)。
結局、ギリシャが若干の譲歩をして、何だか知らいないうちに元のさやに納まってしまった格好です。
あの騒ぎはいったい何だったのだろうかという気もしますが、その渦中にあっては無視できない大きな不安要素でした。
ユーロの崩壊や銀行の取り付けの連鎖などといった事態に発展する可能性も、無いではありませんでしたから。
前にも書きましたが、ギリシャが抱える問題は、ほとんど何も解決していませんので、借りたカネを返す時期が来れば、また蒸し返されることでしょう。

◆中国の人民元切り下げと景気減速

ギリシャ問題が鎮静化すると、今度は中国の景気減速への懸念が世界の市場を揺るがせました。
日本株も腰折れし、以後の落ち込みを埋めきれないままです。

ギリシャは中国と違って経済規模が小さいので、ドイツあたりが手を差し伸べれば簡単に危機を封じ込めることが可能です。
要はやる気の問題、あるいは政治的な問題と言えます。
急性の症状が悪化した時に騒ぎが広がりますが、すぐに収まる性質のものです。
しかし中国は、そうはいきません。
何しろ世界第2位の経済大国でありかつ隣国ですから、日本経済に与える影響には絶大なものがあります。

8月の騒動の発端は人民元の切り下げでした。
切り下げ(正確には基準レートの決定方法の変更)には背景がいくつかあります。
そのうちSDR(特別引き出し権)というものの構成要素にうまいこと加えてもらった、という以外、経済環境の多くは当時と変わっておりません。
特に輸出競争力の低下は構造的であり、資本の逃避の流れも止まっていません。
このため、一旦は収まった元売りがまた再燃し、元はじりじりと値を下げています。
製造業に勢いがなく、不動産セクターでは不良債権も増えているようです。

ただ、経済成長率については、政府統計がでたらめだと言われている割に、実体とそれほど乖離しているわけでもない、ということも分かってきました。
膨大な数の国民がじわじわと豊かになっていますので、消費は総じて堅調です。
これが経済をしっかりと下支えしている姿は、習近平政権のもくろみ通りとも言えそうです。

中国は慢性病にかかってはいるものの、危機的というわけではありません。
高齢化して手足の敏捷性や筋力がやや衰え、動脈硬化も少し進んだかな、という程度の症状だと思っています。
勢いは弱いですが、まだまだ大丈夫でしょう。
来年は、少し景気のいい話が前面に出るような気がしています。

◆米国の金利引き上げ

今年の前半から市場で注目され続けた懸念材料の真打は米国の利上げです。
ただ、これについても、去る16日に政策金利の誘導目標を0.25%引き上げたことで、とりあえず一件落着しました。
株価はその日、「あ〜あ、やっと終わったか」とばかりに大幅高となりました。

元来、金利の上昇は株式市場にはマイナスですから、株価は下がることが多いのですが、今回は上がりました、とりあえず。
それは、逆説的ですが景気回復ピッチが弱いからでもあります。
米国の景気は回復しているものの、それほどべらぼうに強いわけではありません。
また、新興国を含めて、世界経済も全体的にダラダラしています。
そもそも、金利引き上げに最も期待されるのは、物価の上昇を抑えることにあるのですが、物価上昇率も今のところたいしたことはありません。

という次第で、利上げを続けるにしてもピッチは非常にゆっくりしたものになるだろうとかねてより予想されておりました。
利上げを決断した金融当局のコメントも、予想通り「ゆっくりやります」という内容だったので、株式投資家はすっかり安心した、というわけです。

とはいえ、なにしろ10年ぶりと言っていい久しぶりの利上げです。
安心ばかりはしていられません。


■2016年はどうなるのでしょう

さて、これから来年に向けてですが、景気はいまのようなダラダラした拡大が続くように思います。
日本は、原油価格の下落の恩恵をやはり来年も享受できるでしょう。
消費税率の引き上げが2017年4月の予定ですから、来年の今頃は、またぞろ駆け込み消費が盛り上がるかも知れません。

景気はそんなもんでしょうが、金融市場には、約束事でもあるかのように警戒要素がいくつか浮かび上がってきました。
それは、原油価格が下がり過ぎていることの弊害と、米国の金融緩和が長過ぎたことの副作用の二つです。
この点だけ、来年の注意事項として触れておきましょう。

◆原油値下がりの負の側面

原油価格の下落は、当たり前ですが産油国にとっては大いなる打撃です。
最大の産油国と言われているサウジアラビアは、生産コストも低いとされており、1バレル10ドル台でも採算が合うのだそうです。
問題は、国家財政のかなりの部分を原油の売却収入に依存していることです。
財政を均衡させるには、80ドル台が必要だとも言われており、今の30ドル台半ばの価格では、財政赤字垂れ流し状態なのです。

サウジの財政赤字は、IMF(国際通貨基金)の予測では2015年にGDP比で22%に達するようです。
2014年がわずか4%の赤字、2013年は5%の黒字、その前の2012年は12%もの黒字でしたから、それこそ坂道を転がり落ちる勢いです。
中東以外の産油国を見ましても、ロシアの採算悪化はサウジの比ではありませんし、ブラジルやマレーシアなども同じように財政の悪化が止まらない状況にあります。

産油国があまりにもひどい苦境に陥りますと、問題が起こります。
第一はデフォルト懸念です。
ロシアについてはこの噂がチラホラ聞かれるようになりました。

また、財政赤字を補てんするために、手持ちの海外資産を換金売りすること、つまりオイルマネーの逆流への警戒感も広がっています。
その影響は、すでに日本にも及んでいるかも知れません。
2015年は、これまでのところ海外投資家の株式売買が売り越し(売却の方が購入より多い)状況であります。
このままいくと2008年以来、7年ぶりに売り越しの1年となりそうです。

原油価格の先行き予想は難しいですが、仮に今の水準が続くだけでも、来年はこの問題がより大きくなると思っておいた方がいいでしょう。

◆金融緩和の副作用

金融を緩和して供給した資金のかなりの部分が資産の購入に向かってしまう、というのが近年の大きな問題です。
これだけ異次元とか非伝統的とか言われる金融緩和を行っても、日本経済も世界経済もなかなか力強さを取り戻せないでいます。

景気が良くならないので、中央銀行はどんどん資金を供給してきたのですが、そのおカネは、工場を作って機械を入れ、人を雇って物を作って売る、という生産活動に振り向けられるより、不動産や株式・債券という資産の購入に向いてしまっているのが現状です。
金利が低いのをいいことに、借金して投資する人たちも増えています。

金融緩和で資産価格は上がりましたが、資産の反対側には負債があるのが世の常です。
こうした負債は、投機的な投資家だけでなく、例えば新興国のまともな民間企業はもとより、政府でも膨らんでいます。

このように、金融緩和で負債が膨らんだまさに今、米国で利上げが始まりました。
そうなると、利息として払うべき金額が今後増えていく可能性があります。
それも問題ですが、もっと深刻な事態が起こり得ます。
それは、ドル高による返済負担の膨張です。

金利が高いか、またはこれから高くなる国の通貨を買う、という鉄則通り、ここ数年ドルは世界の多くの通貨に対して上昇してきました。
ドル建ての負債が増えているところにドルが上昇すると、大きな問題が起こります。
それは、自国通貨に換算した際の返済額が水膨れすることです。
例えば、1ドル100円の時に1万ドル借りると、手取りは100万円。
返済時にもし1ドル120円の円安になっていると、1万ドルは円にすれば120万円となります。
つまり、自国通貨安は実質的に対外負債を膨らませるのです。

この問題が顕在化するか、何とかうまくこなせるか、という点も、2016年の大きなかく乱要因になりそうな気がしています。


◆最後に

どの分野でも同じでしょうが、特に金融市場というところは、安閑とできる時などほとんどなく、いつも何かしら不安材料を抱えています。経済もまたしかり、です。
だからと言って、ただおびえ首をすぼませているわけには行きません。
インフルエンザがどれほど流行っていようとも、買い物に行かなければウィルスにやられる前に飢えにやられます。

平時には慎重を期し、危機に当たっては目を見開いて立ち向かっていくのが、ヒトというものでしょう。
と偉そうに言ってしまいましたが、私なんぞよりはるかに偉い人の、いまから110年前、つまり明治38年=1905年12月21日の言葉を記して、本年の締め括りにしたいと思います。
これは、日露戦争で海軍を指揮した東郷平八郎が連合艦隊の解散の辞として述べたもので、参謀だった秋山真之の作だろうと言われています。
最後の、もっとも有名なところだけ引用します。

「神明は唯平素の鍛練に力め、戦はずして既に勝てる者に勝利の栄冠を授くると同時に、一勝に満足して治平に安ずる者より直に之を奪ふ。古人曰く、勝て兜の緒を締めよと。」
いつ読んでも名文の香りがプンプンしてくる、とても好きな言葉です。

ではみなさま、良いお年を。

∽…∞…∽…∞…∽…∞…∽…∞…∽…∞…∽
あんしん未来マネー塾 バーバラ石津
〒540-0012 大阪市中央区谷町3-1-25-802
TEL: 06-4790-2557
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「※やさためしろい」メルマガ、ツキイチマネーレッスンを
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  ※やさためしろい=やさしく、ためになり、おもしろいの略

毎年この時期になると、「行く年くる年」をテーマにしたレポートや記事が目に入ってきますね。
皆様にとって、2015年はどんな年でしたか?
  *
今月もテリーさんからレポートが届いております。
2015年の総括と2016年の展望・・・。
今月も、じっくりと読み進めてくださいね。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
第18回 テリーの「やさためしろい経済」
【1年を振り返って
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
どうも今年はあまりパッとしないまま終わりそうな感じですが、何もなかったというわけではありません。
先ずは簡単に今年を振り返り、その後で来年のことについて考えてみることにしましょう。

■2015年の回顧

原油価格の下落は日本にとっては大きな恩恵だったはずです。
しかし、その割に景気が明るさを増したという雰囲気はあまり広がりませんでした。
かなりの好天を予想していた私には意外な展開だったと告白しておきます(3月23日号ご参照)。

国内総生産(GDP)は4-6月に前期比でマイナスとなり、7-9月は改定値でプラスに浮上したものの、年率換算で1.0%。これでは回復感はないですね。
元気だったのは、中国人をはじめとする海外からの観光客の急増でにぎわったホテルや一部の小売店、それに中国人好みの商品を作っているいくつかのメーカーくらいでした。

我が業界もいま一つでした。
日経平均株価は12月18日現在で前年末に比べ9%弱のプラス。
なんとか上昇して終わりそうです。
ただ、6月につけた20868円から見ますとかなり下なので、尻すぼみ感が拭えない1年でもありました。
米国のダウ平均は4%ほどのマイナス。
為替レートも、対ドルでは非常に狭い範囲を行ったり来たりの年でした。
とはいえ、振り返れば実にいろいろなことがありました。

◆ギリシャ

このコーナーでもしばしば触れてきましたが、初夏のころにはギリシャ問題で市場は揺れました。
もうすっかりお忘れの方も多いと思います(私もです)。
結局、ギリシャが若干の譲歩をして、何だか知らいないうちに元のさやに納まってしまった格好です。
あの騒ぎはいったい何だったのだろうかという気もしますが、その渦中にあっては無視できない大きな不安要素でした。
ユーロの崩壊や銀行の取り付けの連鎖などといった事態に発展する可能性も、無いではありませんでしたから。
前にも書きましたが、ギリシャが抱える問題は、ほとんど何も解決していませんので、借りたカネを返す時期が来れば、また蒸し返されることでしょう。

◆中国の人民元切り下げと景気減速

ギリシャ問題が鎮静化すると、今度は中国の景気減速への懸念が世界の市場を揺るがせました。
日本株も腰折れし、以後の落ち込みを埋めきれないままです。

ギリシャは中国と違って経済規模が小さいので、ドイツあたりが手を差し伸べれば簡単に危機を封じ込めることが可能です。
要はやる気の問題、あるいは政治的な問題と言えます。
急性の症状が悪化した時に騒ぎが広がりますが、すぐに収まる性質のものです。
しかし中国は、そうはいきません。
何しろ世界第2位の経済大国でありかつ隣国ですから、日本経済に与える影響には絶大なものがあります。

8月の騒動の発端は人民元の切り下げでした。
切り下げ(正確には基準レートの決定方法の変更)には背景がいくつかあります。
そのうちSDR(特別引き出し権)というものの構成要素にうまいこと加えてもらった、という以外、経済環境の多くは当時と変わっておりません。
特に輸出競争力の低下は構造的であり、資本の逃避の流れも止まっていません。
このため、一旦は収まった元売りがまた再燃し、元はじりじりと値を下げています。
製造業に勢いがなく、不動産セクターでは不良債権も増えているようです。

ただ、経済成長率については、政府統計がでたらめだと言われている割に、実体とそれほど乖離しているわけでもない、ということも分かってきました。
膨大な数の国民がじわじわと豊かになっていますので、消費は総じて堅調です。
これが経済をしっかりと下支えしている姿は、習近平政権のもくろみ通りとも言えそうです。

中国は慢性病にかかってはいるものの、危機的というわけではありません。
高齢化して手足の敏捷性や筋力がやや衰え、動脈硬化も少し進んだかな、という程度の症状だと思っています。
勢いは弱いですが、まだまだ大丈夫でしょう。
来年は、少し景気のいい話が前面に出るような気がしています。

◆米国の金利引き上げ

今年の前半から市場で注目され続けた懸念材料の真打は米国の利上げです。
ただ、これについても、去る16日に政策金利の誘導目標を0.25%引き上げたことで、とりあえず一件落着しました。
株価はその日、「あ〜あ、やっと終わったか」とばかりに大幅高となりました。

元来、金利の上昇は株式市場にはマイナスですから、株価は下がることが多いのですが、今回は上がりました、とりあえず。
それは、逆説的ですが景気回復ピッチが弱いからでもあります。
米国の景気は回復しているものの、それほどべらぼうに強いわけではありません。
また、新興国を含めて、世界経済も全体的にダラダラしています。
そもそも、金利引き上げに最も期待されるのは、物価の上昇を抑えることにあるのですが、物価上昇率も今のところたいしたことはありません。

という次第で、利上げを続けるにしてもピッチは非常にゆっくりしたものになるだろうとかねてより予想されておりました。
利上げを決断した金融当局のコメントも、予想通り「ゆっくりやります」という内容だったので、株式投資家はすっかり安心した、というわけです。

とはいえ、なにしろ10年ぶりと言っていい久しぶりの利上げです。
安心ばかりはしていられません。


■2016年はどうなるのでしょう

さて、これから来年に向けてですが、景気はいまのようなダラダラした拡大が続くように思います。
日本は、原油価格の下落の恩恵をやはり来年も享受できるでしょう。
消費税率の引き上げが2017年4月の予定ですから、来年の今頃は、またぞろ駆け込み消費が盛り上がるかも知れません。

景気はそんなもんでしょうが、金融市場には、約束事でもあるかのように警戒要素がいくつか浮かび上がってきました。
それは、原油価格が下がり過ぎていることの弊害と、米国の金融緩和が長過ぎたことの副作用の二つです。
この点だけ、来年の注意事項として触れておきましょう。

◆原油値下がりの負の側面

原油価格の下落は、当たり前ですが産油国にとっては大いなる打撃です。
最大の産油国と言われているサウジアラビアは、生産コストも低いとされており、1バレル10ドル台でも採算が合うのだそうです。
問題は、国家財政のかなりの部分を原油の売却収入に依存していることです。
財政を均衡させるには、80ドル台が必要だとも言われており、今の30ドル台半ばの価格では、財政赤字垂れ流し状態なのです。

サウジの財政赤字は、IMF(国際通貨基金)の予測では2015年にGDP比で22%に達するようです。
2014年がわずか4%の赤字、2013年は5%の黒字、その前の2012年は12%もの黒字でしたから、それこそ坂道を転がり落ちる勢いです。
中東以外の産油国を見ましても、ロシアの採算悪化はサウジの比ではありませんし、ブラジルやマレーシアなども同じように財政の悪化が止まらない状況にあります。

産油国があまりにもひどい苦境に陥りますと、問題が起こります。
第一はデフォルト懸念です。
ロシアについてはこの噂がチラホラ聞かれるようになりました。

また、財政赤字を補てんするために、手持ちの海外資産を換金売りすること、つまりオイルマネーの逆流への警戒感も広がっています。
その影響は、すでに日本にも及んでいるかも知れません。
2015年は、これまでのところ海外投資家の株式売買が売り越し(売却の方が購入より多い)状況であります。
このままいくと2008年以来、7年ぶりに売り越しの1年となりそうです。

原油価格の先行き予想は難しいですが、仮に今の水準が続くだけでも、来年はこの問題がより大きくなると思っておいた方がいいでしょう。

◆金融緩和の副作用

金融を緩和して供給した資金のかなりの部分が資産の購入に向かってしまう、というのが近年の大きな問題です。
これだけ異次元とか非伝統的とか言われる金融緩和を行っても、日本経済も世界経済もなかなか力強さを取り戻せないでいます。

景気が良くならないので、中央銀行はどんどん資金を供給してきたのですが、そのおカネは、工場を作って機械を入れ、人を雇って物を作って売る、という生産活動に振り向けられるより、不動産や株式・債券という資産の購入に向いてしまっているのが現状です。
金利が低いのをいいことに、借金して投資する人たちも増えています。

金融緩和で資産価格は上がりましたが、資産の反対側には負債があるのが世の常です。
こうした負債は、投機的な投資家だけでなく、例えば新興国のまともな民間企業はもとより、政府でも膨らんでいます。

このように、金融緩和で負債が膨らんだまさに今、米国で利上げが始まりました。
そうなると、利息として払うべき金額が今後増えていく可能性があります。
それも問題ですが、もっと深刻な事態が起こり得ます。
それは、ドル高による返済負担の膨張です。

金利が高いか、またはこれから高くなる国の通貨を買う、という鉄則通り、ここ数年ドルは世界の多くの通貨に対して上昇してきました。
ドル建ての負債が増えているところにドルが上昇すると、大きな問題が起こります。
それは、自国通貨に換算した際の返済額が水膨れすることです。
例えば、1ドル100円の時に1万ドル借りると、手取りは100万円。
返済時にもし1ドル120円の円安になっていると、1万ドルは円にすれば120万円となります。
つまり、自国通貨安は実質的に対外負債を膨らませるのです。

この問題が顕在化するか、何とかうまくこなせるか、という点も、2016年の大きなかく乱要因になりそうな気がしています。


◆最後に

どの分野でも同じでしょうが、特に金融市場というところは、安閑とできる時などほとんどなく、いつも何かしら不安材料を抱えています。経済もまたしかり、です。
だからと言って、ただおびえ首をすぼませているわけには行きません。
インフルエンザがどれほど流行っていようとも、買い物に行かなければウィルスにやられる前に飢えにやられます。

平時には慎重を期し、危機に当たっては目を見開いて立ち向かっていくのが、ヒトというものでしょう。
と偉そうに言ってしまいましたが、私なんぞよりはるかに偉い人の、いまから110年前、つまり明治38年=1905年12月21日の言葉を記して、本年の締め括りにしたいと思います。
これは、日露戦争で海軍を指揮した東郷平八郎が連合艦隊の解散の辞として述べたもので、参謀だった秋山真之の作だろうと言われています。
最後の、もっとも有名なところだけ引用します。

「神明は唯平素の鍛練に力め、戦はずして既に勝てる者に勝利の栄冠を授くると同時に、一勝に満足して治平に安ずる者より直に之を奪ふ。古人曰く、勝て兜の緒を締めよと。」
いつ読んでも名文の香りがプンプンしてくる、とても好きな言葉です。

ではみなさま、良いお年を。

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毎年この時期になると、「行く年くる年」をテーマにしたレポートや記事が目に入ってきますね。
皆様にとって、2015年はどんな年でしたか?
  *
今月もテリーさんからレポートが届いております。
2015年の総括と2016年の展望・・・。
今月も、じっくりと読み進めてくださいね。

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【1年を振り返って
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どうも今年はあまりパッとしないまま終わりそうな感じですが、何もなかったというわけではありません。
先ずは簡単に今年を振り返り、その後で来年のことについて考えてみることにしましょう。

■2015年の回顧

原油価格の下落は日本にとっては大きな恩恵だったはずです。
しかし、その割に景気が明るさを増したという雰囲気はあまり広がりませんでした。
かなりの好天を予想していた私には意外な展開だったと告白しておきます(3月23日号ご参照)。

国内総生産(GDP)は4-6月に前期比でマイナスとなり、7-9月は改定値でプラスに浮上したものの、年率換算で1.0%。これでは回復感はないですね。
元気だったのは、中国人をはじめとする海外からの観光客の急増でにぎわったホテルや一部の小売店、それに中国人好みの商品を作っているいくつかのメーカーくらいでした。

我が業界もいま一つでした。
日経平均株価は12月18日現在で前年末に比べ9%弱のプラス。
なんとか上昇して終わりそうです。
ただ、6月につけた20868円から見ますとかなり下なので、尻すぼみ感が拭えない1年でもありました。
米国のダウ平均は4%ほどのマイナス。
為替レートも、対ドルでは非常に狭い範囲を行ったり来たりの年でした。
とはいえ、振り返れば実にいろいろなことがありました。

◆ギリシャ

このコーナーでもしばしば触れてきましたが、初夏のころにはギリシャ問題で市場は揺れました。
もうすっかりお忘れの方も多いと思います(私もです)。
結局、ギリシャが若干の譲歩をして、何だか知らいないうちに元のさやに納まってしまった格好です。
あの騒ぎはいったい何だったのだろうかという気もしますが、その渦中にあっては無視できない大きな不安要素でした。
ユーロの崩壊や銀行の取り付けの連鎖などといった事態に発展する可能性も、無いではありませんでしたから。
前にも書きましたが、ギリシャが抱える問題は、ほとんど何も解決していませんので、借りたカネを返す時期が来れば、また蒸し返されることでしょう。

◆中国の人民元切り下げと景気減速

ギリシャ問題が鎮静化すると、今度は中国の景気減速への懸念が世界の市場を揺るがせました。
日本株も腰折れし、以後の落ち込みを埋めきれないままです。

ギリシャは中国と違って経済規模が小さいので、ドイツあたりが手を差し伸べれば簡単に危機を封じ込めることが可能です。
要はやる気の問題、あるいは政治的な問題と言えます。
急性の症状が悪化した時に騒ぎが広がりますが、すぐに収まる性質のものです。
しかし中国は、そうはいきません。
何しろ世界第2位の経済大国でありかつ隣国ですから、日本経済に与える影響には絶大なものがあります。

8月の騒動の発端は人民元の切り下げでした。
切り下げ(正確には基準レートの決定方法の変更)には背景がいくつかあります。
そのうちSDR(特別引き出し権)というものの構成要素にうまいこと加えてもらった、という以外、経済環境の多くは当時と変わっておりません。
特に輸出競争力の低下は構造的であり、資本の逃避の流れも止まっていません。
このため、一旦は収まった元売りがまた再燃し、元はじりじりと値を下げています。
製造業に勢いがなく、不動産セクターでは不良債権も増えているようです。

ただ、経済成長率については、政府統計がでたらめだと言われている割に、実体とそれほど乖離しているわけでもない、ということも分かってきました。
膨大な数の国民がじわじわと豊かになっていますので、消費は総じて堅調です。
これが経済をしっかりと下支えしている姿は、習近平政権のもくろみ通りとも言えそうです。

中国は慢性病にかかってはいるものの、危機的というわけではありません。
高齢化して手足の敏捷性や筋力がやや衰え、動脈硬化も少し進んだかな、という程度の症状だと思っています。
勢いは弱いですが、まだまだ大丈夫でしょう。
来年は、少し景気のいい話が前面に出るような気がしています。

◆米国の金利引き上げ

今年の前半から市場で注目され続けた懸念材料の真打は米国の利上げです。
ただ、これについても、去る16日に政策金利の誘導目標を0.25%引き上げたことで、とりあえず一件落着しました。
株価はその日、「あ〜あ、やっと終わったか」とばかりに大幅高となりました。

元来、金利の上昇は株式市場にはマイナスですから、株価は下がることが多いのですが、今回は上がりました、とりあえず。
それは、逆説的ですが景気回復ピッチが弱いからでもあります。
米国の景気は回復しているものの、それほどべらぼうに強いわけではありません。
また、新興国を含めて、世界経済も全体的にダラダラしています。
そもそも、金利引き上げに最も期待されるのは、物価の上昇を抑えることにあるのですが、物価上昇率も今のところたいしたことはありません。

という次第で、利上げを続けるにしてもピッチは非常にゆっくりしたものになるだろうとかねてより予想されておりました。
利上げを決断した金融当局のコメントも、予想通り「ゆっくりやります」という内容だったので、株式投資家はすっかり安心した、というわけです。

とはいえ、なにしろ10年ぶりと言っていい久しぶりの利上げです。
安心ばかりはしていられません。


■2016年はどうなるのでしょう

さて、これから来年に向けてですが、景気はいまのようなダラダラした拡大が続くように思います。
日本は、原油価格の下落の恩恵をやはり来年も享受できるでしょう。
消費税率の引き上げが2017年4月の予定ですから、来年の今頃は、またぞろ駆け込み消費が盛り上がるかも知れません。

景気はそんなもんでしょうが、金融市場には、約束事でもあるかのように警戒要素がいくつか浮かび上がってきました。
それは、原油価格が下がり過ぎていることの弊害と、米国の金融緩和が長過ぎたことの副作用の二つです。
この点だけ、来年の注意事項として触れておきましょう。

◆原油値下がりの負の側面

原油価格の下落は、当たり前ですが産油国にとっては大いなる打撃です。
最大の産油国と言われているサウジアラビアは、生産コストも低いとされており、1バレル10ドル台でも採算が合うのだそうです。
問題は、国家財政のかなりの部分を原油の売却収入に依存していることです。
財政を均衡させるには、80ドル台が必要だとも言われており、今の30ドル台半ばの価格では、財政赤字垂れ流し状態なのです。

サウジの財政赤字は、IMF(国際通貨基金)の予測では2015年にGDP比で22%に達するようです。
2014年がわずか4%の赤字、2013年は5%の黒字、その前の2012年は12%もの黒字でしたから、それこそ坂道を転がり落ちる勢いです。
中東以外の産油国を見ましても、ロシアの採算悪化はサウジの比ではありませんし、ブラジルやマレーシアなども同じように財政の悪化が止まらない状況にあります。

産油国があまりにもひどい苦境に陥りますと、問題が起こります。
第一はデフォルト懸念です。
ロシアについてはこの噂がチラホラ聞かれるようになりました。

また、財政赤字を補てんするために、手持ちの海外資産を換金売りすること、つまりオイルマネーの逆流への警戒感も広がっています。
その影響は、すでに日本にも及んでいるかも知れません。
2015年は、これまでのところ海外投資家の株式売買が売り越し(売却の方が購入より多い)状況であります。
このままいくと2008年以来、7年ぶりに売り越しの1年となりそうです。

原油価格の先行き予想は難しいですが、仮に今の水準が続くだけでも、来年はこの問題がより大きくなると思っておいた方がいいでしょう。

◆金融緩和の副作用

金融を緩和して供給した資金のかなりの部分が資産の購入に向かってしまう、というのが近年の大きな問題です。
これだけ異次元とか非伝統的とか言われる金融緩和を行っても、日本経済も世界経済もなかなか力強さを取り戻せないでいます。

景気が良くならないので、中央銀行はどんどん資金を供給してきたのですが、そのおカネは、工場を作って機械を入れ、人を雇って物を作って売る、という生産活動に振り向けられるより、不動産や株式・債券という資産の購入に向いてしまっているのが現状です。
金利が低いのをいいことに、借金して投資する人たちも増えています。

金融緩和で資産価格は上がりましたが、資産の反対側には負債があるのが世の常です。
こうした負債は、投機的な投資家だけでなく、例えば新興国のまともな民間企業はもとより、政府でも膨らんでいます。

このように、金融緩和で負債が膨らんだまさに今、米国で利上げが始まりました。
そうなると、利息として払うべき金額が今後増えていく可能性があります。
それも問題ですが、もっと深刻な事態が起こり得ます。
それは、ドル高による返済負担の膨張です。

金利が高いか、またはこれから高くなる国の通貨を買う、という鉄則通り、ここ数年ドルは世界の多くの通貨に対して上昇してきました。
ドル建ての負債が増えているところにドルが上昇すると、大きな問題が起こります。
それは、自国通貨に換算した際の返済額が水膨れすることです。
例えば、1ドル100円の時に1万ドル借りると、手取りは100万円。
返済時にもし1ドル120円の円安になっていると、1万ドルは円にすれば120万円となります。
つまり、自国通貨安は実質的に対外負債を膨らませるのです。

この問題が顕在化するか、何とかうまくこなせるか、という点も、2016年の大きなかく乱要因になりそうな気がしています。


◆最後に

どの分野でも同じでしょうが、特に金融市場というところは、安閑とできる時などほとんどなく、いつも何かしら不安材料を抱えています。経済もまたしかり、です。
だからと言って、ただおびえ首をすぼませているわけには行きません。
インフルエンザがどれほど流行っていようとも、買い物に行かなければウィルスにやられる前に飢えにやられます。

平時には慎重を期し、危機に当たっては目を見開いて立ち向かっていくのが、ヒトというものでしょう。
と偉そうに言ってしまいましたが、私なんぞよりはるかに偉い人の、いまから110年前、つまり明治38年=1905年12月21日の言葉を記して、本年の締め括りにしたいと思います。
これは、日露戦争で海軍を指揮した東郷平八郎が連合艦隊の解散の辞として述べたもので、参謀だった秋山真之の作だろうと言われています。
最後の、もっとも有名なところだけ引用します。

「神明は唯平素の鍛練に力め、戦はずして既に勝てる者に勝利の栄冠を授くると同時に、一勝に満足して治平に安ずる者より直に之を奪ふ。古人曰く、勝て兜の緒を締めよと。」
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