あんしん未来のための「お金の基礎知識」が学べます
学んで行動する貴女を応援するサイト!
〒540-0012 大阪市中央区谷町3-1-25-802
  1. 【バーバラ石津のツキイチマネーレッスン】

【バーバラ石津のツキイチマネーレッスン】

◆◇--------------------◆◇
 ツキイチマネーレッスン
---------150823-----------

あんしん未来マネー塾のバーバラ石津です。
「※やさためしろい」メルマガ、ツキイチマネーレッスンを
お送りいたします。
  ※やさためしろい=やさしく、ためになり、おもしろいの略

「お金のこと(特に投資)が解からへんから、教えてもらいたいです」
こんな理由で、マネー塾に参加される方がほとんどです。
正直に言うと、今のように株価が乱高下して、大幅に調整している時の方がやりがいを感じているバーバラなのです。
ただ、こういう時になると、投資意欲がそがれて意気消沈されたか、参加者が減るのは常です・・・。
何が原因なのか、その影響はどんなところに波及するのか等々を、自分で冷静に判断できるようになると、こんな時でも心穏やかにいられるのに・・・といつも思います。

1つずつ「そうだったのか。解かった!」が増えると、自分で考えられるようになりますね。
今回のテリーレポートは、なかなか読みごたえがあります。
また、テリーさんの解説は、分かりやすいというのが定評です。
テーマがタイムリーなだけに、じっくり時間をかけて読み進んでみる価値がありますよ。
ぜひ、最後まで読んでみてくださいね。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
第14回 テリーの「やさためしろい経済」
人民元切り下げの背景と波紋
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

今回は長いです(笑)
途中で固定相場制の歴史などに寄り道しますが、これは、中国の今の為替制度が維持困難だと考える、その歴史的背景を垣間見て頂くことも必要だろうと思ったからです(それでも飛ばして頂いて結構です)。
米国の金融政策との絡みもあり、今日の主題である人民元の切り下げは今後も続くと思っています。
影響は多岐にわたりますので、とても書ききれませんでしたが、それでも長くなってしまいました、というお詫びを冒頭にさせて頂く次第です。
  *
さて、前々回、金融市場で最大の注目点となっているのは、米国の利上げを巡る懸念、中国の経済状態への警戒感、そしてギリシャ情勢だと書きました。
このうちギリシャ問題はほぼ片付きました。
紆余曲折はありましたが、欧州諸国はギリシャを見限ることができず、ギリシャもまた資金の出し手の求めを完全に無視することはできなかったのです。

ドイツ人  「ええ加減に縁ギリシーヤ」
ギリシャ人 「そのなぁ、ひドイッ!」

数年前に思いついたダジャレを今年もまた使ってしまいましたが、縁切りはなかなかできないようです。
ギリシャ問題の根本は、実は何も解決していませんので、いずれこの件が蒸し返される日が来るでしょう。
しかし市場関係者の【当面の要注意リスト】からは消えました。

8月に入ってリストのトップに躍り出たのは中国でした。
11日に、人民元の対ドル切り下げを発表したのです。
通貨の切り下げは、互いに関連している二つの大きな関心を呼びました。
一つは、人民元の切り下げが与える影響そのもので、もう一つは切り下げの背景です。


◆元切り下げの背景@ 景気の悪化

中央銀行に当たる中国人民銀行は、昨年から金融緩和のピッチを速めてきました。
政策金利と預金準備率を数度にわたって引き下げています。
景気が減速していることと物価が安定していることが緩和の背景です。

中国政府は、「景気減速に慌てていない、冷静に受け止めている」と言ってきました。
「景気減速は必要な経済構造改革によるものだ」というわけです。
構造改革とは、ひとことで言えば、これまでの輸出主導、投資主導の経済から消費主導に切り替えていくことを指します。

ただ、内心はかなり動揺しているはずです。
不動産価格が全国的に下がった悪影響を緩和するために株価急騰のお膳立てをしたほどです。
しかしその株価も7月から急反落してしまいました。
景気を押し上げることは、これまで実にうまく経済運営をこなしてきた中国にとっても簡単なことではありません。

なぜ景気が弱まっているのか、理由はいろいろありますが、一つは中国国内の賃金上昇によって輸出競争力が落ちたことが挙げられます。
安い労働力というのはもう過去の話であり、今では日本の方が安いという驚くべき調査結果さえあるほどです。
おまけに世界景気がなかなか盛り上がらないことも、世界の工場でもある中国にとっては痛手です。
こうしたことから、輸出が伸びていないのです。

伸びていないどころか、7月の輸出は予想を下回り前年同月比▲8.3%と、4ヵ月ぶりの大幅減少となりました。
国内での消費の力が弱い中で輸出が減れば、当然ながら生産は落ちます。
政府の公式統計では、4-6月の実質GDP(国内総生産)は前年同期比+7.0%でした。
政府の今年の目標ピッタリという、実に嘘くさい数字です。
実際はもっと低いだろうと見る調査機関も増えてきました。

この国では、政府の経済成長目標は、予想というよりも国民への公約みたいなものです。
未達となればあちこちで問題が噴出しかねず、簡単に容認できるものではありません。
何らかの効果的な対策が一層求められている中で、輸出促進のために元を切り下げるという手を打ってきたものと考えられます。


◆元切り下げの背景A ドルとの固定相場制

輸出が減少しているもう一つの背景は、人民元のレートの決め方にもあります。

人民元は、米ドルと一定の比率でリンクする事実上の固定相場制を採用しています(管理相場制とも言われますが、どっちにしても政府が変動を抑えるようにレートを決めています)。
直近では、1米ドル=6.4人民元弱で、切り下げ前は大体6.2人民元でした(円とは1人民元=20円ほどです)。

ドルとの為替レートを固定するのは、中国にとって米国が重要な輸出先だからです。
ドルと自国通貨を固定・連動させることによって対米貿易を安定させることは、中国にとって大切なことです。

ここで少し長いですが、固定相場制が歩んできた歴史を簡単に振り返っておきましょう。
ご存知の方、知ってもしょうがない、という方は、飛ばして頂いて結構です。


◆固定相場制を振り返る

かつて日本もドルとリンクしていました。
第2次大戦後は「1ドル360円」の時代が続きました。
戦後、圧倒的な世界最大国家となった米国の通貨ドルは、当時、世界の貿易で通用する唯一の通貨でした。
そのドルとの交換レートを決め、貿易をしやすくするための会議が、大戦末期の1944年に開かれました。
開催地の名前にちなんで「ブレトンウッズ体制」とも呼ばれてきました。

しかし1971年8月15日に、当時のニクソン大統領は突如、金(Gold)とドルの交換停止を発表します。
急だったので、「ニクソンショック」と呼ばれます。
米国の貿易赤字が増え過ぎて、その支払いのために「ドルではなく金をくれ」と言われても「もう金は無いから応じられないよ」というのが、金ドル交換停止の意味です。
(余談ですが、戦後の通貨体制は、「金ドル本位制」とも呼ばれます。普遍の価値を持つ(と思われてきた)金とドルとを一定の率で固定し、そのドルと各国通貨を固定する、という二段構えの通貨制度です。)

当初、ドルの切り下げで済ませようとの試み(スミソニアン協定)もありましたが、結局世界の主要国は段階的に変動相場制に移行します。
日本は1973年2月のことでした。
金ドル交換停止にしても、変動制移行にしても、根源は、ドルがこれ以上その水準を維持することは困難になった、つまりこのレートでは米国の赤字が増え続けてしまう、ということにありました。
この時は、弱いドルに対して強い円と強い西ドイツマルク(懐かしいですね!)という構図でした。

その後も、アジアをはじめ多くの国は、米国との貿易関係の強さからドルとの固定相場制を維持します。
しかしこれも、1997年のアジア通貨危機で維持困難となり、多くが変動相場制に移行しました。

その少し前、アジア諸国では高成長が続き、「アジアの奇跡」などともてはやされました。
アジアの将来に期待する資金の出し手はいくらでもいましたから、アジア諸国は国内に投資したりほしい物を買ったりするために、いくらでもお金が借りられるという景気のいい時代だったわけです。

変化は90年代に起こります。
まず、1987年の株価大暴落の影響が癒えて景気が戻ってきた米国は、1994年に金利を引き上げ始めます。
景気も回復し金利も上がるとなると、世界の資金は米国に集まるようになりました。
当然のように、ドルは上昇し始めたのです。


◆固定相場制の落とし穴

前段の最後の数パラグラフは、今の米中の金融・通貨の関係に似ています。
米国景気の回復による金利引き上げ(予想)とドルの上昇、そして固定相場制です。

当時、ドルが上昇したことで、アジアの国の通貨も世界的に見れば上がってしまいました。
ドルとの固定相場制だから当然です。
その結果、アジア諸国は輸出競争力を失っていきました。
それだけが理由ではないのですが、貿易赤字・経常赤字に陥る国も増えました。
おまけに、外からの投資資金も一部が逃げ始めました。
将来性を期待して投資・融資された資金の引き揚げが始まったのです。
これがあっという間に連鎖的に広がったのが、「アジア通貨危機」です。

為替の固定相場制は、それはそれで意味があるのですが、維持できるかどうかは一概には言えません。
日本や西ドイツは、対米黒字が多すぎたので、通貨は変動制移行後も上昇しました。
アジアの国々の場合、貿易黒字の国でさえ、通貨が下落した国が大半でした。

今の中国はどうでしょうか。
中国は、まだ大きな貿易黒字を抱えています。
ですから、本来、人民元は切り上がるべきだ、という考えも成り立ちます。
そうした見方もあって、今回の元切り下げを意外と受け止めた向きも少なくありませんでしたし、市場も実際大いに驚いたわけです。

他方で、ドルとのリンクの継続は困難であり、切り下げリスクがあるとの見方もありました。
さきほど触れましたように、中国の輸出は鈍化しており、貿易黒字も縮小傾向にあります。
だから人民元の下落には要注意、というわけです。
(小さな教訓として蛇足的に書きますと、このくらい為替の予想は難しいものです。)


◆元安は止まらない可能性大

元切り下げは、不振に陥っている輸出をテコ入れしたいという政府の意向によるものですが、だからと言って政府が公然と元安誘導を認めることもできません。
第一に、国内からの資金流出の加速に当局はかなり神経を尖らせているからです。
資金が流出し始めたら、止めるのは簡単ではありません。
アジア通貨危機の二の舞を演じたくはないはずです。
第二に、露骨な通貨安政策を採用することは、対外摩擦の元ともなりますから、避けたいところでしょう。

ですから、人民元安が今後進むにしても、段階的なものになるように思います。
とはいえ、景気がよくないのですから、金融政策は今後も緩和継続でほぼ間違いありません。
政府関係者は、8月半ばの3日間で切り下げは終了したと言っていますが、そんなことはないでしょう。
この間の切り下げは3%ほどです。この程度で狙いとする輸出の促進など期待できません。
なんだかんだ言いながら、元の下落を誘導し続けると見ておいた方がいいと思います。

固定相場制(管理相場制)そのものを放棄し、完全な変動相場制に移行するとまでは断言できません。
当面は切り下げの繰り返しで済ますとの見方が大勢を占めいていると思います。
ただ、この制度に無理があることは確かです。


◆元安がもたらす影響と波紋

どんな形にせよ人民元安が続くとなれば、それによる影響に目を配る必要が出てきます。

・まずは対米関係

中国の7月の貿易黒字は9%減少しましたが、それでもなお430億ドルと巨額です。
米国は対中貿易赤字が大きいですから、これ以上の元安が進めばおそらく議会が黙っていないでしょう。
実際、切り下げ発表当初は議会関係者を中心にブーイングが湧きおこりました。
9月に習近平国家主席の訪米を控えていることから、中国当局も当面は一段の元安を抑制する可能性があるでしょう。

ただ、その後はFFレートの引き上げも予定されています。
「元の下落は米金利の上昇から導かれる自然な流れだ」として、中国は米国の懸念を無視する可能性の方が大きいと思います。
米中の新たな火種になる、とまでは言えませんが、関係がギクシャクする可能性はありそうです。

・米金利の引き上げに影響も?

その前に、FFレートの引き上げができるのか、というテーマも浮上してきました。
そもそも、元切り下げの理由の一つはドルの上昇でした。
ドルは、この1年で世界の主だった通貨に対して15%ほど上昇しました。
ここでFFレートを引き上げてさらにドルが上がるようであれば、人民元は対ドルでさらに下落する必要性が増します。

また、世界第一の経済大国が金利を上げる一方で、第二の大国が緩和を続ける、というとても不安定な状況も気がかりです。
しかもこの二つの通貨は一定の比率で固定されているわけです。
車で言えば、ブレーキを踏みながらエンジンをふかしているようなものですから、どこかに無理が出て、ひずみが広がることが懸念されます。

為替市場は勿論、金融市場、そして実体経済にしわ寄せが及ぶこともあるかも知れません。
こうした薄ぼんやりとした不安が市場を覆い始めており、米国をはじめ世界的に株価はこのところ大きく下げています。
世界経済の停滞感が強いところに米中を巡る不透明感が広がってきたことが理由の一つであることは確かだと見ています。

・日本への影響

中国の不動産・株式両市場の不調による悪影響は、今のところほとんどないようです。
7月の株価急落の影響で、一時店頭から中国人旅行者の姿が減った、との報道もありました。
しかし実はそれほどではない、むしろ堅調との見方も増えているように感じます。
株式投資をしている人の割合が少ないことが幸いしています。

ただ、為替は別です。
中国から訪日旅行客が激増している理由の一つは、間違いなく円安にあります。
(他の理由は、免税対象の拡大、ビザ取得の簡易化です。)

3年近くにわたる円安のお釣りがまだ残っていますから、元が数%下落(円は上昇)したところで、訪日意欲が一気に失せるとは到底思えません。
しかし、不動産価格と株価の下落に加えて今後も元安が続くようであれば、やや警戒が必要となるかも知れません。
日本の景気にとって、いまやそれなりのマイナスの影響を及ぼしかねない変化です。

一方、以前から中国でのビジネスを増やしてきた企業の多くは、すでに現地での業績不調を報告しています。
元の切り下げが進めば、これらの企業の対中売上が目減りしたり、現地での価格競争力をさらに失ったり、という懸念もあります。

このように、中国経済の失速と元切り下げは、日本の企業や株式市場にもマイナスの影響をもたらす恐れがありますので、ちょっと注意が必要です。


◆最後に

9月16-17日には、米国で金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。
人民元の切り下げがあったことで、この会議で利上げが決まるかどうか、ますます分からなくなりました。
金融政策の見通しの変化は、株価や為替市場を大きく動かしますから、しばらくは混乱が大きくなると思います。
しかし、だからといって世界経済が奈落の底に落ち込むというところまでは来ていません、多分。

せっかくの歴史の転換点ですから、しっかり見ておくことは大事です。
しかし、振り回されることの無いように、ゆったり眺めておくぐらいがよろしいように思います。


∽…∞…∽…∞…∽…∞…∽…∞…∽…∞…∽
あんしん未来マネー塾 バーバラ石津
〒540-0012 大阪市中央区谷町3-1-25-802
TEL: 06-4790-2557
Mail: barbara@my-nenkin.jp
∽…∞…∽…∞…∽…∞…∽…∞…∽…∞…∽
▼メルマガ配信停止はこちらから▼